判断に迷ったとき、
「まずは分析してみましょう」
という話になることがあります。
もちろん、分析すること自体は悪くありません。
ただ、分析を増やせば、必ず意思決定に近づくとは限りません。
何を決めるための分析なのか。
結果が出たあと、どう使うのか。
そこが曖昧なまま進めると、数字だけが増えて、かえって判断が難しくなることがあります。
この記事では、分析を否定するのではなく、
やるべき分析/やらない方がいい分析の線引きを整理します。
分析は、やれば必ず判断に近づくとは限らない
会議で判断に迷ったとき、
こういう流れになることがあります。
「一度、データを見てみましょう」
「もう少し分析してから決めましょう」
もちろん、分析すること自体は悪くありません。
ただ、分析を増やせば必ず判断に近づくとは限りません。
何を決めるための分析なのか。
結果が出たあと、どう使うのか。
そこが曖昧なまま進めると、
数字は増えても、結論はむしろ見えにくくなります。
分析結果がある。
でも、判断には使えない。
この状態は、実務では少なくありません。
やらない方がいい分析に共通する3つの構造
やらない方がいい分析には、
いくつか共通する構造があります。
分析テーマが悪いというより、
分析したあとに、判断へつながらない形になっていることが問題です。
実務でよく見るのは、次の3つです。
1)何を決めるための分析かが曖昧
「とりあえず傾向を見たい」
「何か示唆が出るか見たい」
という状態のまま進めると、結果が出ても使い道が決まりません。
2)結果が出ても、結論として使えない
差が出た。相関が出た。精度も出た。
でも、それを根拠に何を判断してよいのかが決まっていない。
この状態では、分析結果は判断材料になりにくい。
3)分析結果が、かえって説明責任を増やす
前提が弱い分析ほど、数字だけが残ります。
あとから「なぜこの数字を出したのか」「なぜこの結論に使ったのか」と問われると、説明が難しくなります。
分析は、結果が出れば終わりではありません。
その結果をどう使うかまで決まっていなければ、
判断には近づきません。
研究でも実務でも、「そのまま分析しない」判断が必要でした
研究でも実務でも、
私は「分析に入る前に止める」判断を何度もしてきました。
ただし、それは分析を避けるためではありません。
その分析結果を、結論に使える形にするためです。
研究:比較できないものは、そのまま分析しない
研究では、データがあるからといって、
そのまま比較できるわけではありません。
たとえば、遠方の銀河と近傍の銀河を比べるとき、
同じ明るさで切ればよい、というわけではありません。
遠方の銀河は、同じ質量でも明るく見えることがあります。
そのまま同じ明るさで比較すると、
同じ性質の銀河を比べているとは言えなくなります。
環境、質量、観測波長、分解能、ノイズ。
こうした条件が揃っていなければ、分析結果は出ても、
「銀河がどう進化したか」という結論には使えません。
だから研究では、解析に入る前に
「この比較はしてよいのか」を確認します。
条件が揃わないなら、そのまま分析しない。
あるいは、結論として言える範囲を限定する。
これは、分析を避けるためではなく、
結論を守るための判断でした。
実務:判断に使えない分析は、問いを作り直す
実務でも同じです。
分析依頼にそのまま応えることが、必ずしも価値になるとは限りません。
その分析で何を決めるのか。
結果が出たあと、誰がどう説明するのか。
結果がAでもBでも、次の行動が変わるのか。
ここが曖昧なまま進めると、
数字だけが残り、かえって判断が難しくなります。
その場合に必要なのは、分析を増やすことではありません。
問いを作り直すことです。
判断に使えない分析を、そのまま進めない。
この線引きは、研究でも実務でも重要でした。
「やる分析/やらない分析」を分ける最低条件
「やる分析」と「やらない分析」は、
手法の難しさで決まるわけではありません。
その結果を、判断に使えるかどうかで決まります。
ここも、三段階に分けて考えると安全です。
やってよい分析
- 何を決めるための分析かが明確である
- 結果が出たあと、どう判断に使うかが決まっている
- 前提・限界・崩れる条件を説明できる
条件付きならやってよい分析
- 仮説整理や探索として使う
- 意思決定の根拠にはしない
- 結果の扱いを事前に限定する
やらない方がいい分析
- 結果が出ても、何を決めるかが変わらない
- 結論の強さを決められない
- 数字だけが残り、後から説明できない
分析は、やること自体に価値があるのではありません。
その結果が、どの判断にどう使われるかまで決まってはじめて、
価値を持ちます。
その分析は、終わったあと何を決めるためのものですか?
最後に一つだけ、確認させてください。
その分析は、終わったあと何を決めるためのものでしょうか。
結果がAだったら、何を変えるのか。
結果がBだったら、何を止めるのか。
どちらの結果でも次の行動が変わらないなら、
その分析は、意思決定にはつながっていないのかもしれません。
分析が悪いわけではありません。
ただ、問いがまだ判断に接続していない。
そういう状態は、実務ではよくあります。
もしここで少しでも引っかかるなら、
分析に入る前に、
「何を決めるための分析なのか」を一度整理した方が安全です。
分析やKPIを、
「このまま意思決定に使ってよいか」
判断に迷う場合は、
設計段階から一緒に整理します。
具体的な相談の進め方は、「相談について」のページにまとめています。
